10.『大きな愛の木の下で』

 今回、この曲をアルバムの最後に置いたのは、"物事って何でも積み重ねなんだな"と感じたからです。ここでカヴァーした曲たちは何十年も歌い継がれてきたものばかりですよね。積み重ねがあったから、今、私たちにも届いている曲であり、そういった絶え間ない歴史の積み重ねの中に今、私たちは居るんだなって思ったんです。過去から今に続く素晴らしいものを振返らないのはもったいないことだと思うし、振返って、そうやって過去からの脈々と流れている愛に気付く…。言葉で言うとちょっと気恥ずかしいですけれど、そうやって振返って過去からの愛を受け止めることも大事だなって。

 今やっていることの意味や学んでいること、今、人との付き合う中での出来事の本当の意味や形って、ずっと後のなってみないと分からないこともたくさんあるんだろうなって。そういった"積み重ねること"について歌いたいと思いました。

 そもそも、この曲が生まれたきっかけは、少し前に書き留めていたポエムからでした。私はライトを浴びて仕事をしているように見えますが、そのライトをあててる多くの人の"お陰"があって仕事ができてるんだなって感じるんです。自らが進んで陰となってくれるたくさんの人たちの下にいる、と考えるとなんて温かな陰の下に私はいるんだろうって。

 そんな個人的な想いや、単純にクリスマスツリー=愛の木とイメージする人もいるでしょうね。また、このアルバムでカヴァーしたようなたくさんの名曲たちが実る木の下に居ると感じることもできます。もっと大きな意味で、家族や大切な人の愛の木の下に居ると思う人もいるかもしれません。アルバムの最後にこの曲があることで、そのほかの曲やアルバム全体がダブル、トリプルミーニングに聴こえてくれたらうれしいなと。

 グルーヴ感のあるギターが柔らかく響くようなこの楽曲が最後に来て、アルバムがゆったりとした雰囲気で終わるのは流れとしていいものになったかなと思っています。

 ちなみにイントロとアウトロに聞こえてくるスレイベルは、MISIA SANTAが奏でています(笑)