7. This Christmas by Donny Hathaway

 このアルバムを12月にリリースすると決まったとき、シーズンズギフトのようなものになればいいなと思ったんです。それで、クリスマスソングを入れようという話になって…、本当にたくさんのクリスマスソングが挙がりました。でも、私の中ではもう決まっていて(笑)。「ダニー・ハサウェイの『This Christmas』が歌いたい」って。

 多くの方は、クリスマスをイメージしたときに雪景色やもみの木のツリー、ターキーなどのごちそうやギフト…などを思い浮かべるんじゃないでしょうか。実はこれ、私の携わらせていただいている生物多様性にとても関係あることなんです。というのも、生物多様性と文化の多様性はとても密接な間柄。私たちがふと思い浮かべるクリスマスの風景も、そんな多様な文化の一部なんですよね。そんなメタファーもありますし、なにより"Love & Peace"な楽曲であることに、とても心惹かれました。

 この曲は『The Glory Day』(1998年)を作曲してくださった鷺巣さんによるアレンジで、『The Glory Day』のトラックに参加してくれたバンドとクワイア・チームがこの曲のためにまた集結し、ロンドンでレコーディングしてくれました。

 クワイアが入ったことでPeaceな感じが出ていると思います。今回、ドラムを叩いてくれたのは『The Glory Day』にも参加してくれ、ゴスペルなどにも参加しているリズム隊のエキスパート。ロックバンドなどのパワフルなドラミングとは違う、軽やかにドラムが連なりながらも弾むような、まるでドラムの中でスティックがスキップしているような感じがとても心地よくて。そんなクワイヤとリズムがあることで、柔らかでジャジーな雰囲気もありつつ、ゴスペルの雰囲気に貫かれたアレンジに仕上がったかなと感じています。

 心地よいグルーヴのなか、歌で心がけたのも"グルーヴ感"。メロディーラインだけを聴くと、実はスタッカート気味で途切れやすいものだったりするので、それをそのまま歌ってしまうと…なんていうか可愛らしく子供っぽい雰囲気になってしまうんですね。それを途切れさせずにグルーヴを出す。鷺巣さんには、満点をいただきました(笑)。