8. White Christmas by Bing Crosby

 選曲の過程で、「世界で最も歌われているクリスマスソング」ということで、挙がってきたのがこの『White Christmas』です。当初は、クリスマスソングは1曲でいいかなとも思っていましたが、実際に少しだけ歌ってみたら白い雪がふわっと舞い降りてくるのが見えるようで…。それで、これも是非入れたくなってしまいました。そういう意味でも、このアルバムはクリスマスプレゼントのようなアルバムになったかもしれませんね。

 もともと映画音楽として作られ、わずか1分半ほどの短い曲ですが、ビング・クロスビーが歌ったものをはじめ、本当に世界中の人から愛され、親しまれていますよね。でも、意外なことに、クロスビーは初めて聴いたとき、あまりピンとこなかったとか。普遍的な名曲ほど、すごく普通に聴こえることってあるのかなって思いました。一見、当たり前のように聴こえるけど、でも、耳から離れない…。『White Christmas』もそんな名曲の1つなのかなと。

 とてもシンプルで美しい曲なので、ほぼアカペラで歌い、そこにピアノが寄り添うようなイメージで曲を作り上げました。クリックを聴かずにフリーテンポで歌ったので、そういった柔らかさが出ていると思います。

 今回、いろんな時代の、様々な名曲を深く掘り下げていくことで、その曲を作った人や歌ってきた人たち、そしてそれを受け止めてきたたくさんの人々のDNAを掘り起こしているような感覚がありました。