6. Mercy Mercy Me(The Ecology)by Marvin Gaye

 この曲の魅力は、今も色褪せないグルーヴィーなサウンドでグッと心をつかまれて惹き付けられるんだけれど、実はその音楽の力によってメッセージの世界へと引き込んでいくところかなって思います。この曲はタイトルにもあるようにエコロジーの曲です。そして40年も前の曲でありながら、今私たちが抱えている多くの問題とリンクした歌詞で、現代にも訴えるメッセージだと思います。

 この曲は4番まで歌詞があって、メロディーラインはずっと同じです。一般的な楽曲のように、Aメロ→Bメロ→サビと盛り上がっていくような展開というよりは、ポエティックに淡々と進んでいくようなところがあります。ただ、同じメロディーでもそこで刻まれているリズムは全部違うんですね。それを感じたときこの曲は、歌詞にメロディーを合わせたのではないかと思いました。何というか、「伝えたいこと」というものがあって、そこから生まれた歌なんじゃないかって。

 そういう意味では、どこかアドリブで歌っているような曲でもありますよね。ゴスペルなどでの説教や、お説法のようにも聴こえるなって思ったり。オリジナルも、今回歌わせていただいたアレンジも、どっぷりとゴスペルな雰囲気ではないのですが、『Mercy Mercy Me』という言葉や、オリジナルでマーヴィン・ゲイが「My Sweet Lord」と歌っている箇所を聴くと、この曲の根底にあるものはゴスペルのようだと感じています。「ああ、なんということなのでしょう!」と嘆いていますが、嘆きは祈りだと思うのです。何とかしたいという…そんなふうに感じるこの曲のメッセージを、私自身はどう伝えればいいんだろうって考えながら言葉1つ1つを大切に歌っていきました。