5. Ribbon In The Sky by Stevie Wonder

 歌う曲が、マイケル・ジャクソン、ダニー・ハサウェイ、マーヴィン・ゲイ…と決まっていく中で、やはりソウルミュージックを愛する1人としてスティーヴ ィー・ワンダーの楽曲は外せないなと思いました。ただ、星の数ほどある名曲から、アルバムにどの曲を選ぶべきか…それを決めるのは簡単ではなくて。そんな とき、ツアーのバンマスでアレンジャーの重実徹さんが提案してくれたのが、『Ribbon In The Sky 』でした。

 改めて歌詞を読むと、同じ空の下で私たちを繋ぐもの=リボンにたとえていたんですね。日本では、そういったものを"ご縁"と言ったりもしますが、遠い空の下であってもいつも繋がっているというメッセージになるし、どこか遠くにいる誰かと繋がりたいという意味にもなるかなと思いました。また、人によってはそのリボンを"赤い糸"のような、ロマンティックなものに感じる人もいるでしょうね。実際に、スティーヴィー・ワンダーのミュージックビデオでは、ピンクのリボンが遠くはなれる2人の男女をロマンティックに結びつけているような感じでしたから。

 そしてレコーディングする段になり、今度はプロデューサーから意外な提案があったんです。「よりメッセージを伝えるために、日本語で歌ってみたらどうだろう」と。驚きましたが、その場で簡単に日本語に訳して歌ってみると、すごくフィットして自然だったんです。実際にこれを聴いた人からは、"すごく新鮮で、しかもよりメッセージが入ってくるね"と言ってもらうことがとても多いですね。

日本語の歌詞は、私が書かせていただきました。英語に比べ日本語訳にするとどうしても言葉数が多くなってしまいますが、スティーヴィー・ワンダーが伝えたかったことを全部盛り込めるように、決して意訳はしないように心がけました。メロディーにマッチするよう、言葉を最小限にとどめる和訳は難しかったですが、メッセージがと届くと嬉しいです。