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シンガーMISIAによる史上最高の"THE SINGER SHOW"
今回MISIAツアーは、タイトル「THE SINGER SHOW」が物語る通り、他ではないMISIAの歌を堪能できるライヴだ。7人のシンガーソングライターが参加したニュー・コンセプト・アルバム「SINGER FOR SINGER」からの曲が中心となり、まるでアルバムの世界をステージで再現したような演出。個性的な曲が集まったアルバムだけに、飽きることなくその世界に吸い込まれていく。砂漠に自然の力で出来た幾何学的な円形模様をイメージして作られたという円形セット。何気ない段差も数々も巧妙にデザインして設計されている。

そこに仕込まれた美しい照明の効果がまた素晴らしい。そのステージをゆっくりと踏みしめながら歌うMISIAが纏っているのは、母なる大地(アース)を感じさせつつ上品さを備えた衣装。注目すべきは、MISIA本人が披露しているギターとピアノの演奏が、シンガーとしての深みを増しているという点。さらに、シップステージと言われる可動式の高いステージに上がって、観客席の間を一周しながら「風のない朝 星のない夜」や「名前のない空を見上げて」などといった珠玉のバラードを堂々と歌い上げる姿には、大物シンガーとしての貫禄さえ感じられる。

手が届きそうで届かない存在であるMISIAの歌声に溜息さえついて余韻に酔いしれていると、次はステージの上から光を放ちつつゆっくりと降りてくる物体が見えてくる。「Holy Hold Me」のプロモーションビデオでも登場した透明のオルガンだ。気づくとそこにはMISIAが座っていてピアノを弾きながら「Mama Says」が始まる、というなんとも神秘的な演出。

舞台、演出、照明、ダンサーやバンドの演奏、そしてMISIAの歌、すべてが最高のクオリティーで融合してこそ体感できる空間。その空間の中で、歌姫MISIAは時空を超えたシンガーとしてのオーラを放つ。ある種神がかり的な存在感を醸し出していると言ってもいい。 例年に比べて派手さは少ないかもしれないが、今回のショーでは特にシンガーとしてMISIAが歌と演奏を追及するために努力を惜しまない姿勢がひしひしと伝わってくるのだ。

後半には、「MELODY」など懐かしい曲も聴かせてくれるし、ライヴの定番となった「INTO THE LIGHT」で間違いなく会場が一体となって盛り上がる。しかし、これらのレパートリーが、以前のライヴで聴いていた時よりもまた違って聴こえてくるのは、2004年ドームツアーという快挙を成し遂げ、この一年でシンガーとしての幅を広げたMISIAの自信に満ち溢れた姿が物語っているのではないだろうか。

MISIAは今年でデビュー7周年を迎える。このライヴを通して「私達は、やっぱりMISIAのオンリーワンの歌声を生で聴くためにここに来たんだ」という安心感が、集まった観客の一人一人に至福の時を与えてくれるのだろう。