「“MISIAさんてバラード・シンガーですよね”ってよく言われます。私もバラードが好きですから、それは否定しない。でも、実はMISIAのバラードにはこれくらい振り幅があるんですっていうところが、今回のアルバムで聴けると思います。人から言われたことに対して自分で答えている感じで、面白かったです」。

MISIAは9作目となる ニューアルバム『JUST BALLADE』の制作過程で感じたことを、笑顔でこう表現した。

メガヒット・バラード 「Everything」を持つMISIAは、日本を代表するバラード・シンガーだ。ただ、彼女はバラードばかり歌っているわけではない。対極にあるアップなダンスチューンにおいても、ハイレベルなスキルを持つトップ・アーティストだ。だからMISIAのバラードには、特別なスピード感がある。バラードにスピード感があるのかと、いぶかしく思う人がいるかもしれない。だが、リズム感のよいMISIAにかかると、スローテンポの曲にトキメキや切なさが生まれる。まるで、ゆっくり進む客船のデッキにさっと海風が吹いてくる瞬間のように、どこか遠いところに運ばれていく感覚。心に渦巻く濃い感情を狭い場所で考え込むのではなく、広々とした星空の下で自分自身と語り合うような聴き心地がMISIAのバラードにはある。そこが彼女の魅力であり、国内外を問わず幅広い層に“バラード・シンガー”として支持される源になっている。

昨年から今年にかけて行なわれたツアー“DISCOTHEQUE ASIA”の最中に、次はバラードを追求しようと思ったという。「バラードって、ゆっくりじっくりお話しするときのテンポでしょ。今の時代って、便利=速いってことだと思う。みんな忙しい忙しいって言ってるけど、自分たちでそうしてるのに(笑)。ゆっくり過ごす時間があってもいいと思います」とMISIA。まずは夏からバラードをセットリストのメインにした“星空のライヴX”をスタートさせ、アルバム『JUST BALLADE』の制作を着々と進めてきた。途中で、この秋最大の話題作『JIN―-仁-』のテレビドラマ主題歌の依頼が来たことも、偶然ではないだろう。特異な設定のドラマだからこそ、MISIA独特の時代観やバラード観と引き寄せ合ったのかもしれない。テーマ曲「逢いたくていま」を実際に聴いてみると、リリックの深さやストリングスの壮麗さに驚かされ、魅了されてしまう。

そして『JUST BALLADE』には「逢いたくていま」や「銀河」、最新シングル「星のように・・・」などの正統派バラードの他に、キラキラ輝く青春を歌ったミディア ム・テンポの「僕のきもち」、童謡のようにシンプルな「いつまでも」、ゴスペル・タッチの重厚さのある「Work It Out」、アフリカン・パーカッションがオーガニックなテイストを醸し出す「バオバブの木の下で」など、さまざまな MISIAのバラードが収められている。
そして、その豊富なバリエーションの中に一貫してあるのは、MISIAがそれぞれのバラードに託した想いだ。こんな時代だからこそゆっくりと、じっくりと話そうという彼女のバラード観が、どの曲からも伝わってくる点が『JUST BALLADE』の最大の魅力だ。MISIA自身が“バラード・シンガーとしての回答”と断言する彼女ならではの“振れ幅の大きなバラードたち”を、どうか隅々まで楽しんでほしいと願う。